日本は南北に細長く連なる列島です。気候は主に温暖湿潤気候に属し、季節風や海流の影響を受けてはっきりとした春夏秋冬の四季があります。雨季・乾季のような雨量で変わる季節の境目はありませんが、冬に比べると夏は雨の日が多く、6月から10月にかけては台風が接近・上陸することがあります。
日本に接近する台風
台風とは東経180度以西の北西太平洋で発生する強い熱帯低気圧です。日本気象庁(Japan Meteorological Agency)によると、低気圧域内の最大風速(10分間平均)が約17m/s(34ノット、風力8)以上のものが「台風」と定義されています。台風の多くは赤道付近の海上で発生し、フィリピンの東沖から弧を描きながら上昇して日本列島へと接近。激しい雨と暴風を伴いながら日本列島の北の方角へと抜けて行きます。
通常、日本では台風の名称を発生した順に数字で表記します。例えば10番目に発生した台風は「台風10号」です。日本に上陸し、甚大な被害をもたらした台風には名称が定められることがあり、被害が発生した地域名や発生した年度などがその名称に使われます。
台風が日本に接近する時期は主に6月から10月
台風が発生する回数は毎年の平均でおよそ27回です。その内、日本列島には12回ほど接近します。台風が日本に上陸するのは毎年0~数回程度ですが、上陸すると大規模災害が発生する可能性が高まります。台風は日本に上陸する時期は8月が最も多く、それに次ぐのが9月です。しかし、近年の気候変動の影響で台風の発生時期や規模は大きく変わる傾向にあるため、台風シーズン中は常に警戒する必要があります。
住宅地で起こり得る台風被害と対策
台風による深刻な被害は、山岳地帯で起こる土石流や土砂崩れというようなイメージがありますが、都市の住宅地でも災害に巻き込まれる可能性はあります。災害時に備えて飲料水・食料品は常に確保しておく等、日毎から防災の備えをしておくことは必須であり、さらに、台風の場合は、天気予報や災害警報をチェックしつつ台風の接近前に被害対策の行動を起こす必要があります。
台風による主な被害と対策;
路上で強風に煽られる
台風で暴風雨が発生している時、傘をさすのは大変危険です。さしている傘が突風に煽られて転倒、あるいは、破損した傘が他の歩行者に直撃して大ケガになる、という恐れがあります。豪風雨では傘でなくレインコートを使用します。
交通機関の運休
気象庁が台風上陸の予測を発表すると、交通機関は計画運休することがあります。外出している時は、運行中止の事前予告をネット等で確認しておくことが大切です。
停電
送電線の破損等で停電する可能性があります。PCやスマートフォンで常に情報収集ができるよう、停電に備えてバッテリーを準備しておくと安心です。
断水
台風で水道施設の機能が止まれば断水が発生します。断水が復旧するまでの一時しのぎの生活水が必要です。台風が来ると分かった時点でバスタブに水をためておくと役立ちます。
トイレで水を流すと逆流する危険あり。
排水管を流れる水が大雨で飽和状態になっていると、トイレで流した水が逆流して溢れ出る危険があります。簡易トイレを用意し、排泄物はトイレに流さず密閉袋に入れる等で処理します。
窓ガラスの破損
突風でガラスが割れる危険があるため、室内にいる時はカーテンを閉め、ベッドは窓から離れた位置に置きます。強風で飛ばされる可能性があるものは、ベランダ等の家の外に置かないようにします。
河川近くの住宅地では川の氾濫に警戒。
堤防の決壊と住宅浸水が想定される地域では早めに避難します。道が水没してからの避難では遅すぎます。夜の避難は危険なので明るいうちに行動します。
台風発生時に避難すべきかの判断は?
水害が発生した際、浸水リスクのある地域住民は避難が指示されます。各自治体では、浸水地域(浸水リスクがある地域)が分かるハザードマップや避難場所をWEBで公開しているので、自分が住んでいる地域が浸水地域か否かを事前に調べておきます。
河川沿い等で浸水リスクの高い地域では、日頃から水害リスクが把握できるように想定浸水深表示板が設置してあります。該当エリアにある学校や図書館等の公共施設に設置してあるので確認しておくことをおすすめします。
どこへ避難すべき? 防災情報を確認し、「分散避難」を。
新型コロナウイルス感染症の影響により、避難のしかたは以前と変わっています。重要ポイントは、誰もがむやみに避難所に逃げるべきでない、という点です。浸水リスクのない地域の住民までもが避難所に集まると、人が密に集まり感染症が広まる危険が高まります。そこで求められているのは、以下にある3パターンの「分散避難」です。台風の規模や住宅の構造などで状況が変わりますが、いかに避難すべきかの判断基準になっています。
在宅避難
浸水地域に指定されていない地域の住民と、高層階の建物や水没の恐れのない頑丈な二階建て以上の建物に住んでいる人は基本的に自宅に留まる。(浸水しない階へ避難)
縁故等避難
浸水地域に住む住民で、台風の襲来までに十分な時間がある場合は、浸水の恐れのない親類や知人の家、或いはホテルに避難することで避難所での密を回避。避難にあたっては、電車やバスが止まる前、または道路が閉鎖される前に行動を。
避難所への避難
自治体で指定された避難場所へ行きます。日頃から各自で用意しておく非常用袋を持って避難します。また、2食分の食料や水、タオルなどの持参が求められています。
関連情報:災害情報を入手できるウェブサイト
台風の場合、接近するまでの時間帯を予測し、情報を入手しながら的確に行動することで命を守ることができます。気象庁や自治体が詳細情報をWEBで発信してくれるので、随時チェックしながら行動すると確実です。避難行動を支援するコンテンツやアプリも多数用意されているので、活用したいところです。
気象庁 気象警報・注意報
https://www.jma.go.jp/bosai/map.html#6/36.23/137.223/&elem=all&contents=warning&lang=ja
国土交通省 防災ポータル
https://www.mlit.go.jp/river/bousai/olympic/
内閣府 防災情報のページ
http://www.bousai.go.jp/index.html
NHK 避難情報の変更と大雨警戒レベル
*台風・大雨災害時の避難レベルの表示が変わりました。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/saigai/basic-knowledge/basic-knowledge_20190529_07.html
東京都防災マップ
https://map.bosai.metro.tokyo.lg.jp/
東京都建設局 洪水ハザードマップ
https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/jigyo/river/chusho_seibi/index/menu03.html