高尾山は東京都心エリアから気軽に行けるハイキングスポットです。近場でありながら緑豊かな森林が残る貴重な場所になっています。もともと日帰り登山や森林浴で人気がある山ですが、シュラン観光ガイド「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」で3つ星評価されてからは、観光スポットとしての人気も高まっています。高尾山は幾つもの登山コースに加え、お寺あり、動物(さる)園あり、ビアホールありと、楽しみ方は実にさまざま。そこで、登山・観光の目的別におすすめのルートを考えてみました。
アウトライン:東京の自然が残る高尾山
高尾山(たかおさん)は東京都の西、八王子市の郊外にある山岳地帯にある山です。標高は599m。東京にありながら登山が楽しめる山であり、多様な植物の宝庫として知られています。
古の時代、高尾山は修験道の霊場でした。8世紀半ばには高尾山薬王院が建立され、寺域となってからは聖地として代々の領主が自然保護の対象としてきました。近代に入ってからは「明治の森高尾国定公園」という保護地区に指定され、東京にいることを忘れてしまうほど今でも自然林が良好に保たれています。
高尾山は東京の都心エリアからアクセスしやすく、新宿からは電車で約55分。ふもとの登山口へは最寄り駅「高尾山口」から歩いて数分で行ける距離です。登山口からは山の中腹まで行けるケーブルカーとリフトが運行しているので、軽いハイキングに訪れる人が多い山として知られています。
山腹にあるケーブルカー駅(高尾駅)から頂上までの道中には高尾山薬王院をはじめ食事処、茶屋、植物園、さる園、展望レストラン(ビアガーデン)があり、登山客だけでなく観光客も多く訪れます。新緑の春と紅葉の秋には、ふもとのケーブルカー乗り場に朝から長い行列ができるほどです。
高尾山の頂上までの歩き方・登山コース
高尾山の山頂まではいくつもの登山コースが整備されており、主なルートは1号~6号で呼ばれる6通りの登山コースです。6つのコースのうち、ふもとから頂上まで続くルートは1号路、6号路の2ルートであり、その他の2~5号路は山腹にあるスタート地点から登頂または山中を歩くコースになっています。
軽いハイキングなら山腹がスタート地点の3・4号路
登山というよりも軽いハイキングで行くおすすめのルートは、ケーブルカーかリフトで山腹まで行き、そこから3・4号路頂上まで行くコースです。舗装されていない山道を60分ほど歩きます。
頂上に向かう3,4号路の分岐点は、山腹の1号路にある浄心門が目印です。まっすぐ行けばそのまま舗装道路の1号路、左に行けば3号路、右に行くと4号路の山道に入れます。人の流れに乗ってまっすぐ行きがちですが、1号路は最も混雑するルートです。少しでも人混みを避けたいなら、3号路か4号路がおすすめです。しかし、1号路の順路には高尾山でぜひ訪れたい高尾山薬王院があります。観光も登山もしたいなら、朝早くに1号路を行き、薬王院でお参りしてから頂上まで登り、帰りに3か4号路を行く、というような同じ道を通らないルートがおすすめです。
ちなみに4号路はつり橋といった見どころがあるコースですが、途中から「いろはの森コース」というコースと交わるので要注意。進はずの道を大きく外れて別方向へ遠ざかって行きます。いずれのコースも分岐路では迷いがち。案内板でルートを確認して歩きましょう。
観光で訪れるなら散策コースの2号路・5号路
観光目的で高尾山に行き、せっかくなので少しだけ緑の中を歩きたいという場合は、2号路または5号路がおすすめです。2号路・5号路は山頂に行くルートではなく、森林の中を30分ほど散策するコースになっています。山腹までケーブルカーで行き、高尾山薬王院でお参りして帰りがけに2号か5号路を歩くという散策に向いています。散策した後に、食事処、ビアホール、植物園・さる園に行く、というのもありですね。
ふもとの登山口から高尾山を登る
高尾山で登山を楽しむなら、やはり、ふもとから歩いて登りたいものです。ケーブルカーを使わなければ、乗車待ちの混雑を避けることもできます。ふもとから頂上へ行く主なルートは1号路6号路です。
舗装道を行く:1号路コース
ふもとのケーブルカー駅(清滝駅)前の広場から右へ反れて入る道が1号路です。舗装された道なので軽装でも登れます。ケーブルカー乗り場前にできた長い行列にひるみ、歩いて行くことにした観光客が選ぶのがこのコースです。舗装されて登りやすいとはいえ、勾配がきつい3.8kmの道のりです。山腹のケーブルカー駅(高尾駅)付近までは急勾配の上りを含めて歩くこと約50分。そこから頂上へはさらに60分ほど歩きます。観光で訪れた人は往路も復路も1号路はつらいので、1号は片道だけにしてケーブルカーかリフトを利用した方がよさそうです。
山道を行く:6号路と稲荷山コース
6号路の登山口は、ふもとのケーブルカー駅(清滝駅)正面の左脇の道を少し行ったところにあります。6号路は沢に沿って歩いたり、滝を見に立ち寄ったりできる、自然豊かな見どころの多い3.3kmコースです。登山道は舗装されていません。ぬかるんで足場の悪い道も通ることから、登山の服装と靴を装備している人のみに向いています。頂上までの一路にトイレはありません。「ケーブルカーが混んでるから6号路を歩いてみるか・・」と、軽い気持ちで行くコースではないです。観光客がいないので1号よりも混雑しませんが、人気が高くしかも道が狭いので行楽シーズンの週末は渋滞することもあります。
頂上まで山道を行くには、山中を歩く6号路のほかにとなりの稲荷山を歩く「稲荷山コース」もあります。稲荷山の山頂を経て高尾山の頂上へ続く山道で、距離は6号路とほぼ同じ3.2km。木々に囲まれながらも日当たりの良い道を歩けるのコースです。稲荷山コースの入り口はふもとのケーブルカー駅(清滝駅)の左側にある石の階段です。6号路の入り口と混合しないよう要注意。
まとめ
高尾山は人気が高く、混雑しがちなので、できれば土日を避けて行きたい山です。お昼の時間帯は大変混むので、朝早くに登頂して午後の早い時間帯に下山できるくらいのスケジュールが理想的です。昼過ぎ頃に下山できれば、ふもとでお昼にする良いタイミングにもなります。
下山後は近くにある高尾山ミュージアム599に立ち寄るのもおすすめです。高尾山の自然について学ぶことができる施設で、入館だけなら無料です。併設のカフェがあり、休憩をかねて訪れたい場所になっています。
観光で高尾山に行くなら、昼食にこだわるのもいいですね。高尾山近くには懐石料理の名店「うかい鳥山」があります。木々に囲まれた静かな料亭で炭火焼料理を堪能すれば、特別なひと時になりそうです。
補足情報:高尾山への電車での行き方
東京の都心エリアは京王線の新宿駅で乗車して「高尾山口駅」へ向かうのが一般的な行き方です。京王線の新宿駅はJR新宿駅と同じ場所にあります。京王線の改札は濃いピンク色が目印です。
京王線の新宿駅から「京王線特急 高尾山口行き」に乗ると、乗り換えをせずに終点の高尾山口駅まで行けます。所要時間は約55分。運賃は388円(2022年9月現在)と低料金。高尾山が気軽に行きやすい理由のひとつです。
下車する駅は「高尾山口駅」
ここでの注意ポイントは降りる駅を「高尾駅」と「高尾山口駅」を混合しないことです。登山コースの出発点とケーブルカー乗り場は「高尾山口駅」の近くにあります。「高尾駅」は名前的に高尾山の近くにありそうですが、登山口から2km以上離れた場所にある駅です。
新宿から高尾駅へは、京王線・JR中央線の両線で行けますが、「高尾山口駅」までは行けるのは京王線のみです。JR線では「高尾駅」しか行けません。JAPAN RAIL PASSを所持している等の理由からJR線で高尾山の登山口へ行く場合は、高尾駅で京王線に乗り換えて1駅先の高尾山口駅へ行きます。
関連情報サイト
高尾山599ミュージアム
https://www.takao599museum.jp/
高尾ビジターセンター
https://www.ces-net.jp/takaovc/
高尾登山電鉄株式会社
https://www.takaotozan.co.jp/
高尾山さる園・野草園 | 高尾登山電鉄株式会社
https://www.takao-monkey-park.jp/
高尾山ビアマウント
https://takaosan-beermount.com/