海外から日本へ引越しをする際、自国で使っていた電化製品を日本でも使用したいと考えるかもしれません。あるいは日本で購入するよりも安い家電は、持ち込んで使いたいと思うこともあるでしょう。しかし、海外から持ち込んだ電化製品のほとんどは、そのままでは使うことができず、多くは変圧器が必要です。日本の一般的な家庭の電源は電圧100V・周波数50Hz/60Hz。確認すべきは、「電圧(V)」、「消費電力(W)」、「周波数(Hz)」そして「プラグの形状」です。
電圧が異なる家電は変圧器(トランス)をつないで使用
日本の一般的な家庭の電源は電圧100Vです。海外の電化製品のほとんどは定格電圧が100Vではないため、日本ではそのまま使うことができません。100Vのコンセントに差し込んで使用すると本来の性能を発揮できず、さらに故障の原因となります。海外の電圧が異なる電化製品は、変圧器(トランス)を介して100Vの電圧を対象の家電に求められる電圧へと変換して使うことになります。例えば、220Vで機能する家電を使うには、変圧器をつないで100Vを220Vに電圧を変換させて使用します。多くの場合、海外の電化製品は定格電圧が日本の家電のそれよりも高電圧となるので、昇圧変圧器(アップトランス)を使うことになるでしょう。
電圧を調べて変圧器(トランス)を使う
変圧器を使うには、先ず、使用したい家電の定格ラベル(製品に貼られた仕様等の表示シール)に記載された電圧を確認します。例えば「220V」という記載があれば100Vから変換すべき電圧は220Vと分かります。そこで、変圧器を求められる電圧の値にセットし、家電と電源の間につないで使用します。
ACアダプター付属の機器は変圧器が不要の場合あり
例えばノートパソコンのように消費電力が小さく、付属のACアダプターで変圧できる機器には変圧器は不要です。もちろん、ACアダプターに記載されている電圧の範囲は必ずチェックし、適応範囲内なら別途の変圧器無しで使用できるという判断になります。
例:ノートPCのアダプター。「100-240V」と記載された範囲なら適応します。
仮に「220-240V」の記載があったら100Vでは使えません。
家庭用コンセントの最大供給電力は1500W
日本の一般住宅では、100V電源のコンセント1つあたりの最大供給電力は1500Wです。1500Wを超える電化製品は変圧器をつないでも使用することはできません。定格ラベルで電圧をチェックする際には、あわせて消費電力もチェックしましょう。1500Wを超える電化製品を使用したい場合、200V電源を用意した上で変圧器を介して使用する、配線用遮断器を取り換える等の対応が必要になります。
200Vの電源も部屋の一部にある可能性が
現在、日本の一般住宅の多くは消費電力の大きい家電用に200Vの電源も用意されています。しかし、200Vの電源はエアコン用のコンセント等、部屋の一部分のみに用意されていることがほとんどです。よって、日本の一般家庭の定格電圧は基本的に100Vです。
電源周波数の違う家電は使用しない
定格ラベルの表示では、適応する電源周波数も必ず確認します。定格でない周波数で使用してしまうと、製品の性能や消費電力に影響する恐れがあります。製品によっては火災などの原因になることもあるので注意が必要です。
周波数の違いによって性能が変化する家電は、冷蔵庫、洗濯機、ヘアドライヤー、ジューサー、加湿器等、主にモーターの稼働を伴う家電です。騒音がでたり、製品寿命が短くなったりといった不具合が発生します。周波数が大きく影響する電子レンジ等の家電は使用することさえできません。
日本の電源周波数は50Hz/60Hz。東西の地域で異なります
日本では本州の中心付近より東西の地域を二分し、東日本は50Hz、西日本は60Hzと異なる電源周波数となっています。地域における周波数の違いは、日本国内で引越しをする際にトラブルになりがちです。例えば、大阪に住んでいた人が東京へ引っ越したところ持っていた電子レンジが使えなくなった、ということが起こります。最近は「50-60Hz」のいずれにも対応する家電は増えてきていますが、東西をまたぐ引越しで家電を購入する場合には確認する必要があります。
コンセントの形状が異なる場合は変換プラグを使用
日本の住宅にある100V用コンセントの形状はタイプAです。形状が異なる場合は電源変換プラグを付けて使うことになります。ここでも注意したいのは、プラグのタイプが同じだとしても、電圧・周波数が違う電化製品はそのまま使えないという点です。コンセントにつなぐ前に必ず定格ラベルの電圧・消費電力(1500W以下)・周波数をチェックしましょう。海外の家電に対応する電源変換プラグは、日本の家電販売店では購入が難しいかもしれません。日本で入手するにはネット通販を利用することになりそうです。
現在の一般的な住宅の多くには、エアコンや衣類乾燥機等、消費電力の大きい家電用200Vの電源が用意されています。200V用プラグは100Vコンセントには差し込めない形状になっています。
100V/200V兼用のコンセント。この形状なら200Vの家電が使用できます。
補足:海外で買ったテレビは日本で使える?
残念ながらそのままでは使えません。大前提の電圧・周波数・プラグを日本の電源仕様に合わせたとしても、放送周波数が違うために地上波の日本のテレビ番組を見ることはできません。日本のテレビ番組を見たい場合は、ケーブルテレビやネット接続ができるテレビチューナーを繋いで外部入力を表示するモニターとして使用することになります。テレビチューナーを接続すれば、地上デジタル放送・BS/ CSデジタル放送が視聴可能です。ネット接続ができるテレビチューナーを使用すれば、テレビだけでなくパソコンやスマートフォンからでもテレビ番組の視聴が可能になります。尚、テレビチューナーを接続するとNHKの受信料の支払いが発生することは覚えておきたいところです。日本のテレビ番組を見ないということであれば、パソコンやゲーム機にHDMI等で繋いでモニターとして使用するのもよいでしょう。
資料:世界の主要国の電圧と周波数
Country | Frequency | Voltage |
Japan | 50/60Hz | 100V |
USA | 60Hz | 120V |
United Kingdom | 50Hz | 230V/240V |
Australia | 50Hz | 240V/250V |
Canada | 60Hz | 120V/240V |
China | 50Hz | 110V/220V |
Korea | 60Hz | 110V/220V |
Taiwan | 60Hz | 110V/220V |
Hong Kong S.A.R | 50Hz | 200V/220V |
Singapore | 50Hz | 115V/230V |
Malaysia | 50Hz | 240V |
Thailand | 50Hz | 220V |
India | 50Hz | 115V/230V/240V |
Indonesia | 50Hz | 127V/220V/230V |
Philippines | 60Hz | 120V/230V/240V |
Viet Nam | 50Hz | 110V/220V |
France | 50Hz | 127V/230V |
Germany | 50Hz | 127V/230V |
Italy | 50Hz | 125V/220V |
Netherlands | 50Hz | 230V |
Switzerland | 50Hz | 230V |
Finland | 50Hz | 120V/230V |
Norway | 50Hz | 230V |
Portugal | 50Hz | 230V |
Spain | 50Hz | 127V/220V |
Sweden | 50Hz | 230V |
Czech Republic | 50Hz | 220V |
Israel | 50Hz | 230V |
Brazil | 60Hz | 127V/220V |
Mexico | 50Hz | 120V/127V/230V |
UAE | 50Hz | 220V/240V |