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神社への参拝とその由緒を知る|外国人向け日本文化の豆知識

日本の風習
Category : 日本の風習日本

神社は日本的な観光スポットとして旅行者に人気です。最近はアニメ作品の舞台になることもあり、神社に関心を持つ海外からの若い参拝者も増えてきています。しかし、神社とはどの様な場所なのでしょうか?祀られている神とは?ふと考えるといろいろな疑問が湧き上がります。そこで、せっかくなら知っておきたい神社の知識をまとめてみました。参拝のしかた、祈祷、お祓い等、知っておくと神社への興味がさらに湧くかもしれません。

神社とは?

神社とは神道の神が祀られているところです。(引用:広辞苑)神道とは自然崇拝を基にした日本古来の宗教であり、祖先神や自然神を尊崇する信仰となっています。神道には創始者がおらず、教義、経典を持ちません。自然に対する畏敬の念と清浄であることを神道の基本的な概念としています。

香取神宮

神社に祀られている神は?

神社では自然崇拝に結びついた日本神話の神々が主に祀られています。神道では万物には神が宿っているという観念があり、神社には実に様々な神々が祀られています。元々は山の神、川の神、豊作の神など、自然界の事象を司る神を神社で崇めていましたが、現在ではあらゆる「分野」で神のご加護を願うようになり、商売繁盛の神、交通安全の神、安産の神、学問の神、さらには料理や野球の神を祀る神社もあります。

叶えたい願い事を胸に参拝します。

本来、神社参拝の目的は日々を無事に過ごせることへのお礼を神に伝えるものでしたが、時代は流れ、今では願い事が成就するよう様々な神に祈るために神社を訪れるようになってきています。例えば、東京にある神田明神は商売繁盛の神が祀られており、年明けの仕事始めの頃にはスーツ姿のビジネスマンが続々と参拝します。恋愛成就なら東京大神宮で、参拝を待つ人の列には女性の姿が多く見られます。現在では、神社は幸せを求めて祈る場所になっているといえそうです。

神田明神

神田明神

神社での参拝のしかた

神社に参拝して神に祈る作法は、基本的に「二礼二拍一礼する」というしきたりになっています。神社によっては独特の作法や違いがありますが、主に以下の流れです。

0.神社に来たら、先ず手水舎で手を清め本殿の前へと行く
1.お賽銭を入れる。お賽銭箱に丁寧に入れます。投げ込まないようにしましょう。
2.鈴の紐を揺らして鈴の音を鳴らす
3.2回お辞儀をする
4.2回手を叩く
5.両手のひらを合わせて心の中で祈る
6.1回お辞儀をする

その他、参道の真ん中を歩かない、祈願の際には帽子を取る、手水舎での手の清め方には順序がある等、細かな決まりごとが幾つかあります。興味がある方は詳しく調べてみてはいかがでしょうか。作法を覚えている自信が無いという人は、他の参拝者の動作を見て参考にしてみてください。

特別な祈願には「祈祷」。厄払いには「お祓い」を。

神社では参拝して祈るほか、儀式的に神を祈る「祈祷」や「お祓い」もしてもらえます。

祈祷は人生に関わるような節目に行うものであり、例えば結婚式、七五三(子供の成長の祝い)での神への祈りです。祈祷では社殿の中に入って儀式を執り行います。明治神宮のような大きな神社を訪れると、結婚式をする着物姿の新郎新婦を運よく見かけるかもしれません。

お祓いは”浄化”であり、よくないことを心身から取り除くための神事です。災難に巻き込まれないよう神に祈るという厄払いの祈りでもあり、「厄年」とされる年齢の節目にお祓いをしてもらうことがあります。

クルマのお祓いで交通安全祈願

厄払いのお祓いは人に対してだけではありません。クルマやバイクをお祓いで清めてもらうこともあります。交通事故に遭わないことを願い、多くは新車を購入した時にお祓いしてもらいます。お祓いは一部の神社で受け付けており、主に大きな敷地を持つ神社(や寺院)で行われています。東京では神田明神や明治神宮、日枝神社が有名です。お祓いは必要不可欠というものではありませんが、交通安全を願う気持ちから慣習的に行われるようになっています。

イメージ:お祓いを待つクルマ

イメージ:お祓いを待つクルマ

クルマ・バイクのお祓いをしてもらうには、専用の入り口から神社の敷地内に入って祈祷するする場所に駐車します。通常は係の人が場所へと誘導してくれます。神社内に祈祷受付の事務所があるので、そこでクルマのお祓いを依頼し、所定の時間にお祓いを受けます。お祓いで納める初穂料は概ね5千円~2万円で、金額によって頂ける御神札等に違いがあります。

補足:神社と仏閣の違いは?見分け方は?

ところで、神社と仏閣の違いは何でしょう?端的には神社は神道、仏閣は仏教という宗教の違いですが、それぞれ建物の外観や作法に共通点があまりに多く、海外からの旅行者には見分けがつかないかもしれません。そこで、知っておくと便利なのが見分け方です。

神社を見分ける主なポイントは;
・神社には鳥居が参道の入り口にある
・神社の本殿には大きな鈴がたいていある。
・狛犬という獅子に似た石像が対になってある。
等々です。

神社・仏閣での参拝では、参拝者は本殿の前で手を合わせて祈願するという行為は同じですが、細かな作法に違いがあります。神社では手を叩き(柏手をし)をし、仏閣では手を合わせるだけ(合掌)で叩きません。これは宗教上の考え方の違いから来ています。仏閣では仏様とひとつになるために手を合わせます。右手が仏、左手が自分であり、手を合わせることでひとつになります。神社では武器を持っていないことを神に伝えるために手を叩くとされています。

日本古来の宗教は神道ですが、6世紀に仏教が中国・朝鮮から伝来し、両宗教が対立することなく融合することで、今日に見られる共通点が多い寺社仏閣の様相に発展しています。この様な経緯があるせいか、多くの日本人は宗教へのこだわりなく神社へも寺へも同じよう訪れて、同じように祈りを捧げます。疫病、自然災害、そして、戦争・・。災いのない平和な日々を切に祈りたいものです。