Living Guide in Tokyo

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外国人が戸惑いがちな、日本の住宅に見られる生活様式について

日本の風習
Category : 日本の風習日本

現在、日本の一般住宅は西洋的な様式が標準化されており、外国人居住者であっても概ね不便なく生活できるようになっています。しかし、日本の気候・文化によって定着した生活習慣や独特な設備があるので、日本に来て初めて住む人には戸惑いがあるかもしれません。設備の使い方は家のメンテナンスにも関わり、生活習慣はマナーの一部になっているので、是非とも知っておきたい知識です。

日本の住宅の特徴と使い方

玄関

日本の住宅では玄関で靴を脱ぎます。靴を履いたまま部屋に入れません、靴のまま他人の家などに入る事はとても失礼にあたります。脱いだ靴は揃えて並べるのが作法とされています。自宅・訪問先のいずれでも、脱いだ靴を揃えるのは日本人には習慣のようになっています。友人宅やお寺等を訪れる際には、マナーとして覚えておきたいところです。自宅では脱いだ靴をいくつも玄関に出したままにせず、シューズボックスに入れるようにします。ただし、汗で湿ったままの靴はカビが生えやすいので、乾かしてから収納するのがポイントです。

エントランス(玄関)

脱いだ靴は履きやすいように向きを変えて揃えます。

和室:襖

襖はスライド式の扉です。最近の住宅ではあまり見かけなくなっていますが、和室の部屋では今でも使われています。襖を開け閉めするには、引手に手をそえてスライドさせます。引手だけでは開けづらいという場合は、木枠部分に手をおいて開けるようにします。襖の表面は基本的に紙製なので、汚れてしまうとふき取ることが出来ません。紙の部分を触って扉を閉めたりしていると、ついた手垢が汚いシミになっていきます。

襖の引手

襖の引手

和室:畳の部屋

畳の上はスリッパで歩きません。畳の部屋に入る際にはスリッパを脱ぎます。また、友人宅やお寺を訪れる際には、裸足で畳の上を歩くのは避けるべきです。ちなみに、畳縁は踏まないことが昔からのマナーになっています。昔は、畳縁は絹のようなデリケートな素材で出来ていたため、踏むと傷んでしまうというのが由来の一つとされています。同様の理由で、襖のような引き戸の敷居も踏まないことがマナーになっています。

畳縁と敷居

畳縁と敷居

トイレ

日本の住宅では、トイレと浴室が別々の部屋になっていることが多くあります。トイレのドアは使用中でなくてもドアは常に閉めておくのが一般的です。欧米で見られるように、使っていない時は少し開けた状態にしておくという習慣は日本ではありません。

トイレにはトイレ専用のスリッパを履いて入ります。トイレ用スリッパを脱ぎ忘れ、うっかり部屋を歩き回らないように気をつけましょう。

トイレスリッパ

トイレスリッパ

トイレにトイレットペーパーは流せます。トイレットペーパー以外はトイレの横に備えられた汚物入れに入れます。衛生面に配慮し、トイレのフタは流す時に閉じるようにします。

バスルーム

日本式のお風呂の入り方は、浴室内にある洗い場で身体を洗い、バスタブでスパのようにお湯につかる、というスタイルになっています。家族でお風呂を使用する場合、バスタブのお湯は各自が使うたびに捨てるのではなく、溜めておいて家族の皆が順々に使えるようにします。バスタブのフタ「風呂ふた」はバスタブのお湯が冷めないようにするために使います。また、バスタブにお湯を溜める時もフタをした状態にし、浴室内に湯気が立ち込めるのを防ぎます。幼児がいる家庭では、目を離したすきに子供が誤ってバスタブのお湯に入って溺れるという事故を防ぐためにも風呂ふたは必要です。

バスタブの上に広げた風呂ふた

バスタブの上に広げた風呂ふた。手桶はバスタブに入る前に身体にお湯を掛ける等に使います。

シャワーを主に使い、日本式のお風呂にはあまり入らないという場合でも、風呂ふたを用意することをお勧めします。バスタブに溜めたお湯からの湯気は浴室にたまりやすく、水気が原因で浴室内にカビが生える原因になります。風呂ふたを使うと湯気の広がりを抑えられます。

カビの発生を予防するためには、浴室の換気システムを使うのはもちろんですが、それでも湿度が高い6月・9月頃はカビが生えやすいので要注意です。浴室で発生しがちなピンク色のカビ(のようなもの)は比較的簡単に除去できますが、黒いカビは取り除くのが困難でかなり厄介です。風呂ふた自体にも黒カビが生えることがあるので、使用後は乾燥させることを心がけます。シャワーカーテンにもカビは生えやすいので濡れたままにしないようご注意を。

洗濯物干し

洗濯物はベランダまたは室内に干します。通常、日本の洗濯機には高温水で洗う機能はなく、洗濯物は太陽光で乾かすことで殺菌を補うことが一般的になっています。洗濯物を室内で干すにあたっては、ベランダの無いアパートや、バルコニーで干すことが禁止されている高級マンション等では洗濯物を吊るすための器具(ワイヤーまたはポール)が部屋に備え付けられていることがあります。浴室の乾燥機を使用して乾かす方法もあります。室内で干す場合、湿った状態が続くと洗濯物が臭うことがあるので、室内干し用洗剤の使用がお勧めです。また、適切な換気システムの使用を忘れずに。最近では乾燥機付きの洗濯機が多いので、乾燥機を使うのもいいでしょう。

参考記事
住宅の喚起システムと手入れの仕方について