Living Guide in Tokyo

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東京湾沿岸エリアの水害対策と備えについて

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Category : 未分類緊急時には
近年の気候変動により、大雨による水害発生のリスクが増しています。東京都の23区にあたる、主に東側に位置するエリアは河川を多く含む地域であり、台風・暴風雨が起きれば洪水発生の恐れがあります。また、暴風雨が発生すれば高潮による浸水の恐れもあるため、河川だけでなく湾岸エリアであっても水害に警戒が必要です。湾岸エリアは地震発生時に津波が発生する可能性もあるので、日頃からの水害に対する備えと、迅速な避難のしかたを知っておきたいところです。
Rainbow Bridge at Tokyo Bay
東京湾沿岸エリアとレインボーブリッジ
©東京都港湾局
https://www.kouwan.metro.tokyo.lg.jp/

 東京は水害リスクが高い都市?

残念ながら地域次第で答えはYesです。東京の地形と都市としての成り立ちをみると、浸水被害・洪水発生の危険性はけして低くありません。東京都の都市開発が、現在の皇居がある地点を中心に始まったのは江戸幕府が開府した1603年。その時代、現在の東京都23区にあたる地域は大半が湿地でした。海は現在よりもずっと陸地に入り込んでおり、皇居の付近には入り江があり、浅草の東側は海でした。

An image of the eastern part of Tokyo today

現在の東京都の東側を表す略図。

江戸時代に入り、居住地域の拡張を目的に海面や湿地の埋立てが進みましたが、低地ゆえに大雨が降ると洪水が起きる水害常襲地帯は多数存在。そこで、数百年にわたり大規模な治水工事がなされてきました。例えば、東京都内を流れる荒川、中川、江戸川の区内流域は人工的につくられた河川です。最近では地下に整備された巨大な放水路(「首都圏外郭放水路」や「神田川・環状七号線地下調節池」)がそれにあたります。

現在まで流域治水が進んだとはいえ、低地という地形ゆえに水害に弱い地域は今も多く残ります。放水路・河川がひとたび氾濫すれば浸水するというリスクと隣り合わせです。さらに、近年は短時間に集中豪雨が発生する頻度が高まりつつあり、下水道・排水路で排水処理しきれない雨水が街中に流れて広がる内水氾濫の発生が深刻化しています。

東京湾沿岸エリアでは高潮に警戒

台風、大雨がもたらす最も大きな水害は河川の氾濫ですが、暴風等による高潮にも警戒が必要です。東京都23区の東側はもともと海抜の低い地域。海面上昇とともに吹き上げられた海水が陸に押し寄せて浸水被害が発生する可能性があります。内陸地であっても高潮による河川の水位上昇というリスクがあり、さらに沿岸エリアでは海水の流入という、海面の変化に直結した水害リスクが高まるので特に警戒が必要です。東京都23区において湾沿岸エリアに含まれる区域は、港区、品川区、大田区、中央区、江東区、江戸川区です。

しかし、沿岸に面した位置にある区であっても、全域に水害の危険性があるわけではありません。特に23区の西側は高台が多く、高潮発生のリスクが小さい場所となっています。例えば、港区は台地を含んだ起伏のある地形になっており、低地は沿岸付近にとどまります。同じ港区内であっても、高潮発生時の浸水危険度と避難すべきかの判断基準は、場所によって異なります。

高潮による浸水リスクの調べ方

東京都は、水防法の規定に基づき、東京湾沿岸(東京都区間)において高潮が発生した場合に浸水が想定される区域を示した図「高潮浸水想定区域図」を公開しています。対象エリアは主に東京都23区エリアとなっており、地図上で予想される水位レベルを0.5m~5mの5段階で色分けをして危険度を示しています。地図は番号付きのブロックで区分されており、自分の居住地・勤務地の浸水リスクを、ピンポイントで調べられるようになっています。地図上で調べたい区域のブロックを探し、番号表から該当番号の区域図(PDF)へとアクセスすれば閲覧できるしくみです。

高潮浸水想定区域図 (出典:東京都港湾局サイト)
https://www.kouwan.metro.tokyo.lg.jp/yakuwari/takashio/shinsuisin_irochigai.html

Storm Surge Area Map [Estimated Maximum Scale]
©東京都港湾局 高潮浸水想定区域図[想定最大規模]より
https://www.kouwan.metro.tokyo.lg.jp/

例えば、港区のレインボーブリッジ付近のブロックは34番であり、番号表にある34番をクリックすると以下の地図(PDF)が表示されました。

東京都港湾局 高潮浸水想定区域図[想定最大規模]
港区34番(レインボーブリッジ付近)
https://www.kouwan.metro.tokyo.lg.jp/yakuwari/DepthB_34.pdf

地図によると、港区の34番地域では概ね0.5m~3mの浸水が予想されているようです。自宅が高層ビルの3階建以上にあれば、予想水位レベルより高い位置にある部屋にいるほうが暴風雨の中で避難所へ向かうよりも安全といえます。0.5mなら室内への浸水を防ぐ防水シートを設置するといった防水対策が取れます。

高潮発生時の避難のしかた

浸水リスクが高い地域では、台風・大雨発生時に安全な場所へ避難しなければなりません。「事前の備え」「実際に起きた際の行動」に分けて、予め対策を理解しておきましょう。

事前の備え

1)防災情報を集めておく。
事前に浸水リスクを知っておく
上記の高潮浸水想定区域図で、自分の居住地・勤務地のブロックの浸水リスクを把握しておきます。想定される浸水レベルは、図書館等の公共施設に表示されていることもあるので、自宅近辺でチェックしておくのもよいでしょう。

2)避難場所を決めておく。
災害が発生した段階で避難場所を探すのでは遅すぎます。事前にどこに避難するかを決めておきます。東京都の各自治体は、ウェブで防災・災害対策・避難場所の情報を発信しているので、最寄りの避難場所を調べておくことが可能です。避難場所は混雑が予想される、あるいは、乳幼児がいる家族等の考慮によっては、被災の恐れがない友人宅やホテルに避難する、という選択肢もあるので、事前に取り決めておきたいところです。

区市町村防災担当窓口一覧(東京都防災ホームページより)
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/link/1000044/1000253.html

3)非常用持ち出し袋を用意し、食料・水を備蓄しておく
浸水発生後、直ぐに元の生活に戻れるとはかぎりません。水道や電気等のライフラインが止まる状況が続くこともありえます。どれくらい、何を備蓄すべきかの判断は、東京都が提供している「備蓄ナビ」が参考になります。

東京備蓄ナビ(提供:東京都総務局総合防災部防災管理課)
https://www.bichiku.metro.tokyo.lg.jp/

水害発生が予測された時の行動

1) 自治体からの防災情報を随時チェックし、避難に備える

気象庁は各自が避難すべきか否かを判断しやすいように、5段階の「警戒レベル」を明記して防災情報を提供しています。各自治体は、気象庁からのこの防災情報を基に警報を発令するので、それに応じて避難行動をとります。

防災情報は各自治体がウェブサイトから発信しています。自治体によってはウェブアプリでリアルタイムに防災情報を配信しているので、随時アクセスできるようにしておくと、情報入手に役立ちます。

段階的に発表される防災気象情報と対応する行動(気象庁のホームページより)
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/alertlevel.html

出典:気象庁ホームページ
https://www.jma.go.jp/jma/index.html

2) 避難する
自治体から「警戒レベル4:避難指示」や「警戒レベル3:高齢者等避難」が発令された際には速やかに避難行動をとります。浸水が発生してからでは遅すぎます。夜間は停電が発生すれば避難行動自体に危険が伴います。早めの段階で避難する必要があります。

避難に際しては、幾つかの注意事項があります。
例えば:
・暴風雨の中では傘をささない
・公共の交通機関の運行状況をチェックする(計画運休で利用できない可能性あり)
・自宅のブレーカーを切ってから避難する(電気の消し忘れに伴う事故防止のため)
等です。さらに詳しく知っておくためには、「東京都防災ホームページ」の情報が参考になります。

東京都防災ホームページ
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/bousai/

補足:避難せずに自宅待機の場合、トイレは使わない
浸水が発生すると、下水道の水が逆流する可能性があります。水が引くまでトイレは使用できません。

沿岸地域での地震による津波発生のリスク

東京湾は内海にあり、波の力を分散しやすい地形にはなっているため、比較的に大きな津波が押し寄せないといわれています。実際、23区域の湾岸エリアでは、これまでに3mを超える津波は記録されていません。現在、東京都が公表している想定される津波高は最大 約2~2.6m程度となっています。それでも、2mも水位が上昇すれば、津波被害の可能性はあります。

津波から命を守るための避難行動

中規模の地震の場合
震源からの距離に寄りますが、震度2~3の地震の場合は津波が来る可能性は低めです。しかし、気象庁が発信する津波予報をチェックして、津波が来ないことは確認します。

大地震の場合は直ちに避難
震度6以上の場合、直ちに高い場所に避難します。津波が来ずに避難が無駄になっても行動すべき局面です。地震発生から津波の到達まで時間差が生じ、震源地からの距離次第で5分から30分以上かかる可能性があります。「落ち着いて」かつ「速やかに」高い場所へと向かいます。避難した後にしばらく経過しても津波が来ないからといって戻ってはいけません。必ず防災情報を確認し、津波の危険予測が解除されるまで戻らないのが鉄則です。

気象庁 津波情報
https://www.jma.go.jp/bosai/map.html#5/37.979/135/&elem=warn&contents=tsunami

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