いつ何時に起きるか予測ができない非常時に備え、住んでいる建物や宿泊施設の避難経路は予め知っておきたいものです。非常口の場所を把握しておけば、火災等が発生しても慌てず行動することができます。非常口は地下鉄や商業施設といった外出先でもチェックするようにしておくと安心ですね。
非常口の場所とその見分け方
火災等の非常事態が発生した際、避難経路へと導く非常口はピクトグラムの誘導灯で場所が指し示されています。誘導灯の基本色は緑色であり、非常口までの距離によって以下の3タイプがあります。
白地に緑のピクトグラムと矢印
非常口への進路を指し示す「通路誘導灯」です。矢印が指す方向に進んで行くことで非常口にたどり着く、という誘導標識です。
緑の地色に白色のピクトグラムと矢印
非常口の場所を示す「避難口誘導灯」です。標識の付近に非常口があることを示します。
例えば左矢印があれば、「ここの左側に非常口あり」という意味です。
緑の地色に白色のピクトグラムのみ。矢印無し。
非常口がある場所、または、非常口そのものに設置されています。ピクトグラムではなく「非常口(Exit)」と、文字で表記されていることもあります。
集合住宅やホテルで火災が発生した際の避難経路について
階層構造の建物で火災が発生した際は、階段を使って避難するのが基本です。
日本の建築基準法では、階層構造の建物には二通りの避難経路の確保が義務付けられており、通常は「階段」と「避難はしご」が設備されています。階段は防火構造になっており、落ち着いて行動すれば避難できる設計になっているので、階段からの避難が優先されます。
避難はしごは、通常ベランダにあるハッチに設置されていますが、全部屋に備えられているものではありません。避難はしごが自分の部屋にない場合は、ベランダの壁を壊してハッチのある部屋のベランダまで行かなければなりません。また、はしごは誰もが簡単に扱えるものではないため、使い方を知っておきつつも、あくまで最終手段の避難経路と考えた方がよさそうです。
階段で避難する際に気を付けたいこと
階段から避難する際に最も重要なのは、階段エリアに煙が侵入しないようにして避難経路を確保して逃げることです。火災が発生した場合は、煙が建物全体に広がらないように部屋の扉を閉めてから非常口へと向かいます。煙は1秒で3メートルから5メートル上昇すると言われており、仮に1階で火災が発生すれば煙は瞬く間に上層階へと広がっていき、避難を困難にします。実際、火災での死亡は吸煙による一酸化炭素中毒が直接の原因になるケースが多いとされています。
既に建物内に煙が充満している状況では、煙を吸わないように口と鼻を手で押えつつ姿勢を低くして慌てず非常口へと向かうのがポイントです。緊急時にはパニックになりがちですが、我先にと走って非常口に殺到するのは大変危険です。落ち着いて行動し、順次速やかに避難すれば、お互いが助かる可能性が格段に高まると、心にとめておきたいところです。