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抵当権と根抵当権について|不動産売買の基礎知識

売買物件について
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土地・建物購入のローン等、不動産を担保に金融機関から借入れをする際には抵当権または根抵当権の設定が必要になります。いずれの設定も債務者と債権者との間で取り決めることになり、両者の申請により登記して公開しなければなりません。抵当権と根抵当権には融資形態の違いがあり、主に債務者の借入れ目的に応じて設定されます。

抵当権とは?

抵当権とは、金融機関が貸付金を確実に回収するために設定する担保を意味します。抵当権は主に不動産購入が対象となるため、英語で置き換えられる単語はmortgageです。例えば、住宅を購入しようと銀行から資金を借りて住宅ローンを組むとなった際、銀行がその住宅を担保に取ることが抵当権に当たります。住宅ローンを組んだ債務者は、担保になっている住宅に住み続けながら借入金を返済できるというしくみです。不動産投資ローンを組んで賃貸物件を購入するという場合も同様であり、賃貸経営で家賃収入を得られながら借入金を返済することが可能です。

抵当権の設定と登記・抹消の手続き

不動産を担保に銀行から借り入れをするにあたっては、借入の契約を結ぶだけでなく、抵当権の登記を必ず行うことになります。抵当権は債権者と債務者による取り決めで設定され、両者が法務局に申請して登記することで公開されます。登記に至るまでは、担保の対象となる建物・土地の調査、担保評価、契約、といった手順を踏むことになり、かかる手続きは司法書士を通じて行うのが一般的です。借入金を返済し終えた際には抵当権を登記から抹消することになり、その手続きも司法書士に依頼するのが一般的となっています。

資金の借入れを何度もするという場合には、その都度に登記・抹消の手続きが必要です。例えば、返済期間35年の住宅ローンなら、抵当権の設定・抹消の手続きは完済までの35年間に一度するだけですが、3年、5年といった短期ローンで何度か借り入れるなら、設定・抹消の手続きを毎回することになります。しかし、何度も借入れをする債務者にとっては、毎度の手続きと司法書士への依頼費用が負担になるのが否めません。そこで、事務的な負担を軽減すべく、抵当権に取って代わるのが根抵当権です。

根抵当権と抵当権の違い

根抵当権は基本的には抵当権と同じであり、金融機関が貸付金に対して設定する担保を意味しますが、融資の形態に大きな違いがあります。根抵当権は英単語ではrevolving mortgageであり、設定した担保を「軸」にして貸し借りを繰り返せるというのが特徴です。

根抵当権の設定では、金融機関との契約時に貸し出す上限金額(極度額)が決められ、その上限金額の範囲内なら何度でも貸し借りができるようになります。例えば、不動産を担保に上限金額6000万円を根抵当権に設定すると、6000万円の範囲内の金額で借入れと返済を繰り返すことが可能です。しかも、根抵当権の設定では借入れの度に登記・抹消の手続きをしなくて済むという利点があります。企業が不動産を担保にして事業資金を繰り返し調達する、といった借入れ目的に適している設定です。個人の住宅ローンなら抵当権の設定が一般的ではありますが、賃貸経営等が目的のローンなら根抵当権も選択肢になるでしょう。

抵当権・根抵当権の登記までの流れ

抵当権、根抵当権いずれの設定も所定の手続きを踏んで登記することになります。
以下の一例は、住宅ローンを契約して抵当権を登記するまでの流れです。大きく分けて二段階の流れになっています。

1) 金融機関に住宅ローンの申し込みをする
ローン利用者(債務者)と金融機関(債権者)の間で以下の契約を結びます。
・金銭消費貸借契約(住宅ローン契約)
・抵当権設定契約

2) 抵当権設定登記をする
ローン利用者(債務者)と金融機関(債権者)が共同で登記します。
(必要書類)
・抵当権設定契約書
・登記識別情報(権利証)
・印鑑証明書
・実印
・本人確認書類(例:マイナンバーカード、運転免許証)
・司法書士への登記委任状
等。

ここで覚えておきたいのは、必要書類を準備しておく必要があるという点です。例えば、登記するには印鑑証明書が求められるので、事前に印鑑登録をしておく必要があります。また、新築の表題登記、中古物件購入による所有権の移転等、購入する不動産の状況に応じて必要書類の用意や登記内容に違いがあることを覚えておきたいところです。

弁済できないとどうなる?抵当権の行使について

抵当権が行使されるのは、債務不履行となった時です。住宅ローンを組んでいた債務者が事情により借入金を返済できなくなった場合、債権者である金融機関は担保の対象であるその住宅を競売にかけて売却し、貸付金を回収することになります。債務者が担保対象の物件を勝手に売却して残りの返済金に充てるということはできません。

借入金を完済したら抵当権の抹消手続きを。

債務者は借入金を無事に完済すると、抵当権を登記簿から抹消できます。担保で無くなった不動産は抵当権が消滅し、晴れて所有者の自由意志で扱えるようになります。住宅ならそのまま住み続ける、或いは、第三者に売却するのも自由です。ただし、借入金を完済すれば抵当権が自動的に抹消されるというものではありません。所定の手続きをして登記簿から抹消する必要があります。登記簿に抵当権の記録が残ったままになっていると、その不動産を売却したいとなった時等に不都合が生じます。忘れずに抹消手続きをしなければなりません。

更に注意したいのは根抵当権の場合です。根抵当権の抹消は簡単ではありません。その理由は、根抵当権は繰り返し貸し借りができるという融資形態により、完済の時点を区切りに債権が消滅するという定めができないからです。故に、根抵当権の抹消には債務者と債権者の当事者同士が合意しない限り権利は残り続けます。

不動産購入時には抵当権を必ず確認

不動産を購入する立場であるならば、購入しようとする不動産に抵当権があるか否かの確認は必須事項です。抵当権がある、つまりは担保になっている不動産を購入すると、その債権者が権利を行使するリスクがつきまといます。債権者によって競売に掛けてられてしまえば、購入した不動産の所有権を失うことになりかねません。登記簿を見れば抵当権の有無を知ることが出来るので、必ず確認しておきたいものです。

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