日本の住宅で快適に暮らすために配慮しておきたいこと、それは室内の換気です。日本は温暖湿潤気候に属する地域が多く、湿度の高い夏季には室内の換気を怠るとカビが発生しやすくなります。冬季には空気が乾燥するためホコリが舞いやすくなるとともにウイルスが滞留しがちです。衛生面での健康維持を含め、新築住宅でみられるシックハウス症候群のリスク軽減に欠かせない換気は、法律でもその導入が求められています。
換気の目的:何のために換気する?
室内の換気は外からの新しい空気を部屋に取り込んで循環させるために行います。浴室のような湿気が溜まる水回りは乾燥を促すことを主な目的に換気をしますが、各部屋では空気をきれいにするために換気をします。
換気システムを使用する目的は;
アレルギー物質の吸引による健康被害を避けるため
建材に使われる接着剤等から揮発する化学物質の吸引を避けるために換気をします。日本の建築基準法ではシックハウス対策として計画的な換気=24時間換気を取り入れることが規制されています。
*法律で定められる以前の建物には換気システムが備えられていないこともあります。
空気の滞留と結露を防ぐことでカビ・ダニの発生を抑制する
気密性が高い住宅は湿気がこもりやすく、アレルギー疾患の原因となるダニやカビが発生しやすい環境になります。特に6月~7月半ばの梅雨の季節は湿度が高くなるため、増殖しがちです。
一酸化炭素ガス中毒のリスクを軽減する
万が一、ガス器具が故障して不完全燃焼の状態になってしまった場合、一酸化炭素ガス中毒の危険があります。気密性の高い家で石油ファンヒーターを使う場合、換気を怠るとリスクが高まります。
部屋から浮遊するウイルスを外へと排出する
東京とその近郊エリアは、冬になると湿度が大幅に低くなります。空気が乾燥するとインフルエンザや風邪のウイルスが浮遊しやすくなるため、吸引してしまうリスクが高まります。換気をして室内の空気を入れ替えることにより、浮遊ウイルスの室外への排出を促します。
臭いを部屋に溜めない
日々の生活を繰り返しているうちに、住人には気がつかない臭いがカーテンや壁に染みついてしまいがちです。臭いのトラブルには換気をすることが一番の対策になります。
空気をきれいにするためには空気清浄機?
「空気をきれいにするなら空気清浄機を使えばよい」、と思われがちですが、その機能を十分に発揮させるには、換気によって空気の流れを作ることが前提になります。空気が動いていないとホコリはどこかに積もったまま留まるので清浄機は機能してくれません。空気清浄機が吸い込めるように換気システムを作動させる必要があります。
換気システムのしくみについて
日本では建築基準法により計画的な換気=24時間換気を取り入れる規制があり、法律施行後に建築およびリノベーションした家には換気システムが設備されています。
換気システムは給気口・排気口・換気扇で構成されており、換気扇を稼働させて空気の流れを作りつつ、汚れた空気を集めて外へと排出します。
給気口
外から新しい空気を室内に取り入れる側の口です。内部にはホコリ、粉塵を取り込むフィルターがあります。
排気口
部屋のよごれた空気を吸い出す口です。部屋の天井に備えられています。
換気扇で集められた空気は外へ排出されます。
24時間換気システム
換気扇が24時間稼働し部屋のよごれた空気を集めて外へと出します。
給気口のフィルターの交換
給気口の内部にはフィルターの備え付けがあり、ホコリ・粉塵が溜まって汚れてくるので定期的に洗浄または交換をします。フィルターには水洗いできるタイプとリフィルと交換するタイプがあります。
水洗いできるタイプのフィルターは、中性洗剤を溶かしたぬるま湯で洗い、洗剤を水で洗い落した後に形を整えて乾かします。
水洗いできないタイプ、もしくは洗うのが面倒な場合は、フィルターを購入して交換します。フィアルターはメーカーによって形状が異なるので、メーカー指定のものを入手します。購入時には、寒冷地用、三階建て用がある点も注意してください。フィルターの価格は5枚で600円~1700円です。アレルゲン除去のフィルターの価格はやや高めの価格になっています。
ファイルターの掃除、交換の頻度は居住している環境で異なりますが、概ね年に2回が目安です。